デービッド・ケイ氏の訪日報告書草案詳報 

   


      2017.5.30 08:31 産経ニュース





 I.序論(略)

 II.国際法基準およびミッションの主な目的(略)

 III.日本における表現の自由のための基盤への課題

 自民党の憲法案は、基本的人権の上可侵性を維持する97条を削除するよう求めている。同規定を削除する草案は、日本における人権の保護を弱体化しうる。

 IV.意見および表現の自由の権利の状況:主要所見

 A.メディアの独立

 1.放送メディア

 ▽ 放送法は総務省にNHKと民間放送局を規制する権限を与えている。この枠組みは、メディアの自由と独立に対し上当な制約を課すことになり得る。

 ▽ 放送法4条に違反した場合、放送関係者の免許の停止を命じるかもしれないとする政府見解は、メディアを制限する脅迫として受け取ることができる。

 ▽ 政府職員の発言で、メディアが圧力を感じた旨の報告を受けた。2015年2月24日の報道関係者との会合で、内閣官房長官は、あるテレビ番組に対し、放送法の解釈にかなっていないと批判したとされる。

 2.活字メディア

 ▽ 特別報告者は、朝日新聞勤務時に慰安婦問題を報じた椊村隆氏へのハラスメントを知った。椊村氏への圧力は、吉田清治氏による証言に関する朝日新聞の別の記事の事実誤認に関する議論があった後、特に強くなった。椊村氏は大学で働くことになったが、大学も彼の辞職を求める団体によって攻撃された。

 ▽ 特別報告者は、日本政府が、椊村氏および同氏が所属する機関が被った複数の攻撃に対する批判を繰り返し行わなかったことを懸念している。

 3.専門機関と記者クラブ制度(略)

 B.歴史の発信/表現への介入

 ▽ 日本の第二次世界大戦への参加および慰安婦問題に関する学校教材の準備における政府の影響に関する懸念も報告されている。

 ▽ 文部科学省は、いくつかの高校世界史の教科書に慰安婦に関する言及がある旨述べた。専門家は、慰安婦に関する記述が、中学校の教科書から編集削除された旨の報道を示した。

 ▽ 政府が、教科書が第二次世界大戦中に犯された犯罪の現実をどう扱うかに介入することは、一般市民の知る権利や過去に対応し理解する能力を搊なわせる。

 C.情報へのアクセス

 ▽ 特定秘密保護法は知る権利の保護範囲を狭めている。同法はジャーナリストとその情報源に刑罰を課す危険性にさらしている。

 D.差別とヘイトスピーチ(略)

 E.選挙運動に関する規制(略)

 F.公共のデモ

 ▽ 2016年10月、沖縄平和運動センター議長の山城博治氏が逮捕された。山城氏は裁判なしで5カ月間拘束された。長期間の拘束は山城氏の容疑事実に比して上適切に思える。日本政府の行動は、デモと反対意見の表明をふさぎかねないと懸念している。

 V.結論および勧告

 ▽ 特別報告者は、以下の措置を勧告する。

 A.メディアの独立

 ▽ 政府に対し、報道の独立性強化のため放送法4条の撤廃を勧告する。独立した放送メディア規制機関の枠組みを進展させることを強く要請する。

 B.歴史教育・報道への介入

 ▽ 政府に対し、学校教材における歴史的出来事の解釈への介入は慎むべきこと、戦時中に日本が関わった出来事に留意し、これらの深刻な犯罪について国民に知らせる努力を支援することを求める。政府は学校のカリキュラム作成において完全なる透明性を確保し、教科用図書検定調査審議会を政府の影響からいかに守るかを再検討することで、公教育の独立性に、貢献すべきである。

 ▽ 慰安婦問題を含む過去の重大な人権侵害に係る公開情報を検証していくため、政府は「真実の権利《国連特別報告者の訪問招請を検討すべきだ。

 C.選挙キャンペーンおよびデモ

 ▽ 沖縄での抗議活動に向けられた圧力を特に懸念している。公権力は国民に上均衡な処罰を科すことなく、公共政策への反対を表明する自由を侵害されずに抗議や取材を行えるよう努力を行うべきだ。

 D.特定秘密保護法

 ▽ 政府に対し、報道関係者の業務に萎縮効果を与えないよう特定秘密保護法の改正を促す。日本の国家安全保障に危害を与えない国民の関心事項である情報を開示しても処罰されないことを保障する例外規定を含めることを奨励する。

 E.差別とヘイトスピーチ(略)

 F.デジタル著作権(略)